たまごは本来、食料となるためにあるのではなく、ひよことして生まれるために存在しています。だから、たまごのなかには命を作るすべての材料がそろっています。たとえばタンパク質です。タンパク質は20種類のアミノ酸と言われるものが結合して出来上がっています。その20種類のアミノ酸のうち9種類のアミノ酸は、人の体内で他のものから合成することができず、食品から摂取する必要があるため、必須アミノ酸と呼ばれています。この必須アミノ酸のバランスが非常に良いのがたまごです。バランスの良さを示す指標としてアミノ酸スコアというものがありますが、たまごなどの動物性タンパク質は100となっています。また、たまごのタンパク質は体内に残り、活用されやすいことが、生物価という値からわかります。
たまごの中の栄養成分はタンパク質だけではありません。もう一つ重要なものは脂質です。脂質はカロリーが高いのでマイナスの印象を持つ人も多いと思いますが、これも体を作るために必須のものです。脂質はカロリーとして消費されるだけでなく、体に必要な成分に変換されて利用されています。
たまごの中には、ビタミンのように体を調節するために必要な成分まで偏りなく含まれています。たとえばビタミンBは、たまごを2個食べると1日の必要量の半分を取ることができます。ビタミンB12にいたっては、1個で1日分の必要量を取ることができます。この点からもたまごは、栄養が豊富で食べると健康になる食品と言えます。
日本人は鮮度にこだわる人が多く、たまごの鮮度についても気にされる方が多いのですが、実際にはどうなのでしょうか。産みたてのたまごは、白身の中に二酸化炭素というガスが多く溶けているため白く濁っていて、加熱してもかたく固まりません。1日ぐらい過ぎるとガスが抜けて白身が透明になります。日にちがたっても栄養成分が壊れるようなことはありませんが、白身が盛り上がっている濃厚部分の構造が壊れてしまうので、盛り上がりがなくなったり、殻から水分が飛んで白身の量が減ったりします。さらに、白身の一部が黄身の方に入っていくので、いくらか黄身が水っぽくなります。混ぜてしまえば同じですが、目玉焼きで黄身の濃厚な味を楽しみたい場合は、産まれてから日にちがたっていないほうがおいしいです。
目には見えませんが、たまごの殻には細かい穴が開いています。普通はこの穴から微生物が入ることはないのですが、殻が水でぬれた時には、水と一緒に微生物が穴を通過し白身の中で繁殖することがあります。たまごの殻がぬれるようなことは、保存しているときには厳禁です。なるべくパックのまま、また、温度差による結露などができないよう、一定の温度で保管することが大切です。
たまごのおいしさのキーワードは“不均一のおいしさ”です。固茹でたまごだけをとっても、ぷりぷりした白身、ほくほくした黄身と異なる二つの味を楽しむことができます。親子丼などのどんぶりものになると、白身、黄身だけでなく両方が混ざったところ、さらには食感も、かたいところから半熟のとろっとしたところまで、ひとつの食材でいろいろな楽しみ方ができるのがたまごの良さなのです。
たまごとコンビーフは良質たんぱく質源かつアスリートに欠かせない鉄が豊富。キャベツ、パプリカは鉄の吸収を促すビタミンCが期待できます。ビタミンCは汗と共に失われるので、こまめな補給が大事。
ハムに多く含まれるビタミンB1はごはんの糖質をエネルギーに換える働きがあり、さらに玉ねぎの香り成分がその働きをサポートするので、疲れにくいからだ作りに最適な組み合わせ。オレンジジュースと組みあわせて。
ベーコンはごはんの糖質をエネルギーに換える役割があるビタミンB1が豊富。ブロッコリーは卵に含まれないビタミンCが豊富。ビタミンCは鉄やカルシウムの吸収を促します。牛乳やヨーグルト、コーンスープと組み合わせましょう。