魚介類の主な成分は良質のタンパク質で、このタンパク質は消化・吸収に優れています。そして大きな特徴は、高度不飽和脂肪酸である「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を含んでいることです。EPAとDHAは、鶏肉には少量含まれていますが、牛肉や豚肉にはありません。EPAは血液の凝固を防ぐホルモンの原料で、血液をサラサラにし、血栓性の病気(心筋梗塞や脳梗塞など)を予防する働きがあると言われています。DHAは脳の活性化機能や情緒を安定させる働きがあるほか、認知症の改善やガンの予防効果なども報告されています。
EPAとDHAは脂肪酸なので、魚肉に脂肪が多い背が青い魚(マイワシ、マサバ、サンマなど)に多く含まれています。白身魚であっても、肝臓に脂肪が蓄積するあんきも(あんこうの肝臓)や、脂肪分が多いギンダラやキチジなどには多く、マグロは赤身よりもトロに多く含まれています。また、この含有量は季節や魚の大きさなどによっても異なります。同じ魚種ならば、旬のものや大きい魚の方が、脂肪を多く含んでいます。
これらのEPAやDHAの摂取量は、調理法で異なります。無駄なく摂るには、生(刺身)で食べるのが一番良く、煮たり焼いたりすることで損失します。煮た時は煮汁も残さず食べ、焼く時は、ホイル焼きにしたり、フライパンで調理する時は、魚から流れ出た油をソースにするなど工夫して下さい。
注目されているのがタウリンとアスタキサンチンです。タウリンはアミノ酸の一種で、タコやイカ、貝類などの軟体動物や、エビやカニなどの甲殻類に多く含まれています。コレステロールの低下作用や認知症の予防になるといわれています。アスタキサンチンはカロテノイドの仲間で、サケやイクラ、スジコに多く含まれています。老化の原因のひとつに、生体物質の過酸化がありますが、アスタキサンチンにはビタミンEの6倍の抗酸化作用を示しています。つまり、老化を抑制する効果があると言われています。このほかカルシウムが豊富なことも有名ですが、魚はカルシウムの吸収をよくするビタミンDも多く含んでいます。特にビタミンDが豊富にある内蔵を一緒に食べられる「ちりめんじゃこ」やワカサギ、シシャモなどの小魚は、カルシウム摂取に効果的です。
魚介類には、炭水化物、ビタミンC、食物繊維が含まれていません。ごはんと一緒に食べることはもちろん、野菜や海藻などと組み合わせて、バランスよく食べることが大切です。
[目利き]旬の魚を選ぶこと。これが目利きの第一歩です。魚の旬は、ふつう産卵期の前にあたります。旬の魚は脂がのり、栄養価も高くなります。旬の時期は漁獲量も多くなるので、価格も安くなります。つまり、旬の魚は、安くて美味しいのです。
スーパーマーケットや魚屋で選ぶときは、丸の魚は目が黒々として澄んでいて、体にツヤとハリがあり、皮の色や模様がはっきりし、お腹が引き締まっているものが良いでしょう。サンマなどは背中が盛り上がって見えるものが、脂がのっている証拠です。切身は切り口がピンとしており、血合いがある場合は鮮やかな赤色をしているものを選びましょう。ブリなどのように背側と腹側があるものは、料理する方法で選ぶとよいでしょう。天然と養殖についても、時期によっては天然よりも養殖の品質の方が上回ることもありますし、価格面では養殖の方が手軽に買いやすいので、状況に応じて選択しましょう。
[保存・調理]魚介類は新鮮なうちに食べることが最も大切です。しかし、たくさん手に入った時などは、漬け魚にすると良いでしょう。「味噌漬け」「粕漬け」「麹漬け」などは定番ですが、ごま油、しょう油、鷹の爪、八角で漬ければ中華風に。オリーブオイル、ワインビネガー、ハーブで漬ければ洋風に楽しめます。漬け魚は冷蔵庫で3日程度、冷凍ならば約1か月保存できますが、いずれも早く食べることが大切です。
魚を調理する時は、塩を上手に利用しましょう。塩を振ることで、魚から余分な水分と臭みを抜くことができます。上記の漬け魚なども、最初に塩をし、魚本来の旨味を引き出しましょう。
良質なたんぱく質に富む鮭は美味しいだけでなく健康にもとても良い食材です。鮭に含まれるアスタキサンチンの高い抗酸化力は有名ですが、生活習慣病予防に良いとされる高度不飽和脂肪酸のDHAやEPAも豊富に含まれます。
ちりめんじゃこはカルシウムが豊富です。ちりめんじゃこ自体にもカルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれますが、お酢や梅干しなどの食品と一緒に食べるとその吸収力が一段と高まると言われています。そしてゴマも実はカルシウムが豊富。三拍子揃って、美味しくて健康的なおにぎらずです。
揚げたサバを甘辛いつけ汁につけることで、ご飯にとても良く合う味になります。健康に良いといわれるDHAやEPAに富むサバと、βカロテン、カルシウムの豊富な青じそは最強のコンビです。